【最近は使われなくなった形状】・複数本束タイプ人工毛を2本使用し、その2本の毛を根元で固定した「Yの字(写真左)」のものがあります。その他、2本や3本の毛を根元で固定し先端の長さを段違いにしたものもありましたが、品質面に難があり現在は販売されていません。人工毛が束状になっているタイプでは、複数本を結んで扇状に広げ、弱めのカールがついたインディビジュアルフレア(通称フレア・写真中央)と、インディビジュアルシングル(写真右)などがあります。近年では、知識技術の未熟なサロンの時間短縮低価格メニューなどで使われ、粗雑な施術によりトラブルが増加したことを機に、その利用数は急激に減少しています。●ボリュームラッシュ施術は、知識・技術と安全性への配慮が強く求められますスタンダードシングルの人工毛を1本の地まつげに1本ずつ装着する「1by1」が現在のまつげエクステの基本です。1本ずつ的確に装着することで自然な仕上がりが得られます。複数本束タイプを使用して施術するサロンは少なくなってきましたが、未だに料金値引きや施術時間短縮のために使用しているサロンも一部見受けられます。複数本束タイプはPETや塩ビなどの素材で作られるものが多いため、スタンダードシングルの主な素材であるPBTと比べると、デザインや質感・装着感が異なり、形状維持期間が短いこともわかっています。また、熱にも弱く、太陽光などで変形するものもあります。プロ向けに流通している人工毛の価格は様々です。品質はもちろん素材や生産国などによって原価が決定されます。ベトナム、中国、インドネシアが製造の大半を占めていますが、日本では人工毛に高機能性を持たせる研究が進んでおり、従来の海外製にはない抗菌性能を持つ人工毛が2011年に登場して以来、様々な新製品の提案が行われています。人工毛の選択は顧客のリピート率にも大きく影響します。持続可能な店舗経営のため、安全を考慮しつつ顧客のニーズに合わせた人工毛を選択し、他店との差別化を意識するようにしましょう。複数本の極細人工毛をツイーザーで把持し、ファン(扇状の広がり)を作り、1本の地まつげに装着することをボリュームラッシュ施術と言います。ボリュームラッシュ施術用の極細人工毛としては、太さ0.05mm、0.06mm、0.07mmのタイプが使用されています。「地まつげが一部脱毛していて1by1ではその隙間を埋められない場合」や「部分的に強い生え癖があり1by1ではその隙間が埋められない場合」など、通常の手技では対応できない場合の応用手技として注目されていますが、1本の地まつげへの複数本装着は「まつげの代謝を妨げる」、「グルーの塗布量が多くなるため目元トラブルリスクが高まる・人工毛のリムーブに時間がかかる」、「コームが通らない・美容液やコーティングが塗布しにくくなる」、「1by1に比べてデザインが崩れやすい」などデメリットも多いため、ボリュームラッシュ手技に係る確かな知識・技術を持つ施術者による安全性に配慮した施術であることが前提とされます。※1本の地まつげに1本の人工毛を装着する「1by1」がまつげエクステの基本手技です。複数本束タイプの誤った使用は様々なトラブルを引き起こす原因となります。例えば、人工毛に塗布するグルーの量が多いと、隣同士のまつげが同時に固定され、まつげの代謝を妨げることになります。結果としてまつげの減少を引き起こす可能性があります。31Key Points
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