目の病気・ものもらい(麦粒腫)の原因、治し方
2020年10月2日
目が痛い、目に小さなふくらみができている、そんな目の症状は「ものもらい(麦粒腫)」が原因かもしれません。
ものもらいの原因や症状、治療法、予防法について解説します。
目次
「ものもらい」の語源と方言
「ものもらい」は学術的には、「麦粒腫」が正式名称です。
「ものもらい」の語源は、「ものをもらうと治る」という迷信からとされています。
これは、東日本を中心に全国に広まったとされていて、その他にも、地方によってさまざまな方言が存在します。
おひめさん:
熊本県
ばか:
宮城県 / 岩手県
ものもらい:
青森県 / 秋田県 / 岩手県 / 山形県 / 福島県 / 茨城県 / 栃木県 / 群馬県 / 埼玉県 /
千葉県 / 東京都 / 神奈川県 / 新潟県 / 富山県 / 山梨県 / 長野県 / 静岡県 / 島根県 / 佐賀県 / 鹿児島県 / 沖縄県
めいぼ:
滋賀県 / 京都府 / 山口県 / 徳島県 / 愛媛県 / 福岡県 / 宮崎県
めっぱ:
北海道 / 群馬県
めばちこ:
大阪府 / 兵庫県 / 奈良県 / 和歌山県 / 岡山県
めぼ:
三重県 / 広島県 / 香川県
めぼう:
高知県
めぼいた:
鳥取県
めもらい:
石川県 / 福井県 / 長崎県 / 大分県
めんぼ:
岐阜県 / 愛知県 / 三重県
その他の方言:
いもれ、おきゃくさん、おともだち、おでき、おひめさま、でんぼ、のめ、のんめ、ばが、ほいど、ほいどっこ、みんでえ、めかいご、めかご、めけご、
めこじき、めこんじき、めっぱち、めっぱつ、めばちく、めぼいと、めぼら、めぼろ、めまんじゃ、めんちょ、めんぼう、ものむらい、もらいもの、よのめ
■参考サイト ロート製薬株式会社 ものもらいMAP
ものもらい=麦粒腫 原因は細菌感染
「ものもらい」は、学術的には「麦粒腫」といわれる眼の病気で、細菌に感染することによって起こります。
感染した部位により2種類に分けられます。
外麦粒腫 :
まぶたの外側の汗を出す腺や、まつげの毛根に細菌が感染する
内麦粒腫 :
まぶたの内側のマイボーム腺(まつ毛の生え際にある油分を分泌する穴)に細菌が感染する
原因となるのは、黄色ブドウ球菌などの細菌です。これらの細菌は珍しいものではなく、人の皮膚や粘膜など、日常生活の中でどこにでも存在している常在菌です。
これらの常在菌は、健康な状態では炎症を起こしたりはしませんが、以下のようなことがきっかけとなり、ものもらいなどの症状が出ることがあります。
■病気などで体の抵抗力が低下している
■疲労や寝不足で免疫機能が低下している
■目の怪我や結膜炎などを起こしている
■汚れた手でまぶたをこするなど不潔な状態にする
このような状態は、細菌の感染や増殖をまねきやすく、ものもらいになりやすい状態です。
症状~まばたきをした時の痛みが特徴~
主な症状は、まぶたの腫れや痛みです。
特に、まばたきをしたり指で押したときに痛みを感じることが特徴です。
◇初期症状
まぶたの一部が赤く腫れる
かゆみ
痛み
◇症状が進むと
腫れが強くなる
まぶた全体が腫れる
赤みが強くなる
痛みが強くなる
◇さらに症状が進むと
腫れた部分の瞼の裏から膿が出る
腫れた部分の皮膚が薄くなり破れて膿が出る
膿が出たあとは治ることが多いですが、まれに重症化したり、しこりが残って霰粒腫に移行することもあります。
ものもらいは暑い時期になりやすい
ものもらいは、1年を通してなる可能性がありますが、以下のような理由から、特に6月~8月の暑い時期に感染することが多くなります。
■目の周りにも汗をかきやすくなることで、目に細菌が入りやすい
■プールや海、川などに入る機会が増え、目を刺激しやすい
症状としては、まばたきをした時の痛みが特徴です。
ものもらいと似ている眼の病気
霰粒腫
ものもらいとまぎらわしいのですが別の病気です。ただ、ものもらいとの区別がつきにくいこともあります。
霰粒腫は、まぶたの内側のマイボーム腺(まつ毛の生え際にある油分を分泌する穴)の出口がつまって、慢性的な炎症が起こることで、
あぶらの塊のようなもの(肉芽腫)ができる病気です。マイボーム腺で起こるという点は、ものもらいと同じです。
■症状
まぶたの腫れ
異物感
痛みやかゆみが少ない点は、ものもらいと異なります。
流行性角結膜炎(はやり目)
ウイルス感染が原因となって結膜(白目部分)と角膜(黒目部分)に炎症が起こる病気です。
原因となる主なウイルスは、アデノウイルス(8型、19型、37型、54型など)などで、主な感染経路は、手指やものなどについたウイルスが目に入る接触感染です。
ウイルスの感染力がとても強いことから「はやり目」と呼ばれ、感染経路から全国的に大流行するようなことはありませんが地域的に流行します。
1年を通して感染しますが、特に夏に多くなる傾向があります。
子供がかかった場合、保育園や学校は感染を防ぐため、出席停止になります。
■症状
結膜の強い充血
まぶたの腫れ
めやに(起床時、目が開けられないほど大量)
異物感
目の痛み
など
かゆみはありません。
治療~抗菌薬の使用や化膿がひどい場合は切開手術~
ものもらいは、市販薬の目薬などで治ることもありますが、治るまでに時間がかかったり、
重症化する可能性や、治っても再発を繰り返す場合は他の病気が原因の可能性などもあります。
正しく治療をすれば2週間程度で治るため、眼科の受診をお勧めします。
眼科では、以下のような治療をします。治療中はコンタクトレンズを使用しないようにしましょう。
症状が軽い場合
・抗菌点眼薬
・抗菌眼軟膏
症状が重い場合
・抗菌点眼薬
・抗菌眼軟膏
・抗菌内服薬
・消炎点眼薬
化膿が悪化している場合
・切開手術・・・まぶたに麻酔をかけ、小さく切開して膿を出します。
ものもらいはうつる?
ものもらいの原因となる細菌は、そもそも常在菌で人が常に持っている細菌であるため、うつることはありません。
感染力の強い「はやり目」と混同していたり、体の抵抗力が落ちた時などは、一度に数か所できてしまうこともあるため、「ものもらいはうつる」と勘違いされてしまうのかもしれません。
予防~目は清潔に!免疫力や抵抗力を落とさない!!~
石鹸とタオル
ものもらいの予防は、細菌に感染しない、細菌を増殖させない状態にすることが大切です。
目を清潔に保つ
不潔な状態は、細菌が増殖しやすい環境です。目を清潔な状態に保ちましょう。
■汚れた手指やタオルなどで目に触れない
■まぶたに触れるような長い前髪は避ける
■アイメイクはほどほどにして、きちんと洗い落とす
■コンタクトレンズは正しい方法で、清潔に使用する
など
免疫力や抵抗力を落とさない
病気や体調がすぐれない、疲労、ストレス、睡眠不足などで、免疫力や抵抗力が低下しているときは、細菌に感染されやすい状態です。免疫力や抵抗力を落とさないようにしましょう。
■体を健康な状態に保つ
■十分な休養、睡眠をとる
■疲れやストレスを溜めない
など
まとめ
多くの方が経験したことがある「ものもらい(麦粒腫)」は、常在菌の黄色ブドウ球菌などが原因によるものです。
日頃から健康に注意し、抵抗力を落とさないようにしましょう。もし、ものもらいにかかったら早めに眼科を受診しましょう。
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