湿度の高い梅雨時期から夏にかけてのマツエク施術で気をつけることとは?(2)
2020年7月7日
前回の続き、マツエクの施術における梅雨~夏場の施術時の対策や、この時期に起こりやすい「白化現象」の対策について理解しお客様へ説明できるようにしましょう。
目次
施術時の対策
施術時の基本的な対策は以下の通り。高温多湿時期であっても基本は変わりません。
グルーの取り扱い
・グルーは使用するごとに毎回60回程度よく振リます。
・グルーを出す際は、トレーにグルーのノズル部分を引きずるように出すのではなく、トレー真上から、2~3滴落とすようにグルー液体を出します。
・グルーを引きずるように出すと、1度空気に触れたグルーが容器内に戻り、劣化の原因となるので注意してください。
・トレーに出したグルーは時間の経過に伴い粘りが出ます。その状態のグルーを使い続けると持続力が弱まります。
・グルーは少量(グルードーム直径約8mm)をこまめに(5~10分毎に1回)取り出します。グルを出す度に、ノズルに付着した液だれをしっかり拭き取ってからキャップを閉めます。
・そのままキャップを閉めると、「ノズルに付着したグルー」が固まってキャップが開かなくなるばかりで密閉されないので中身が固まる原因になります。
・ノズル部分を綺麗にするか否かで容器内グルーの劣化速度は大幅に変わります。ノズルのふき取りは、毛羽だたないタイプのコットンやガーゼ、キッチンペーパーなどが適しています。
施術にとらわれているとつい忘れてしまいがちですが、グルーの扱い方にも意識を向けるように心がけましょう。
コーティング剤を使用する
画像左:アイラッシュスーパーコーティング
画像右:松風コーティングエッセンス
サロンによってはオプションメニューとしてコーティング剤を導入しているところもあるでしょう。
水やオイルから保護することでエクステの持続力を高めるだけでなく、まつげにうるおいと艶を与え美しくする効果もありますので毎日お使いいただくことをお客様におすすめしましょう。
マザーグルーシリーズご利用の場合はまつげエクステ装着後2時間以上経過してから、マイスターグルー或いはギプスグルーご利用の場合はまつげエクステ装着後1時間以上経過してからご使用いただくのが理想的です。
グルーが完全硬化する前に塗布することは正常な硬化反応を妨げるとともに白化現象発生の原因ともなります。お客様にお求めいただいてご自宅で塗布いただいてください。
クリアなコーティングは、万が一グルーが白化してしまった際にコーティングを塗ることで白化を目立たなくすることもできるので、梅雨時期の白化対策としても有効です。
お客様に、梅雨の季節でもいつも通りマツエクを楽しんでもらうために、梅雨の季節に使用することのメリットも添えてご案内するようにしましょう。
グルーの状態がいつもと違うと感じたら
グルーの主成分であるシアノアクリレートの特徴として、季節や室内環境のわずかな違いにより、使用感や硬化した後のグルー表面の見た目や粘度が肉眼で判別できるほど変化することがあります。
松風のグルーは製品別に違いはありますが、すべて「非光沢・漆黒」処方をしています。「異常という程ではないが、いつもより硬化速度が遅い、少し光沢が強く感じる」等のご相談に対しての現物グルー調査結果は「環境による硬化反応の違い」であるという結論に至ることが大半です。
グルーは「第三の物質である水」との化学反応によって硬化するものです。細密に言うと「空気中の水質や量、温度」によって大小様々な変化が起きやすくなります。
『グルー使用時に例年までは無かった何らかの変化を感じる』という場合、以下の事象が原因として考えられます。
1.長時間放置したり冷蔵庫保管しているグルーをしっかり振らずに使用したことにより、カーボンの分離によって光沢が強く感じたり透明度が増すことがあります。
2.白化現象と同じ原因で、硬化後のグルーの色が薄くなったり艶が出たり消えたりすることがあります。技術者を悩ませる白化現象は夏場に起きやすい現象ですが、この場合もグルー硬化後の表面の見た目が変動します。
それと同じように湿度・温度(稀にアルカリ性揮発ガスや二酸化炭素等)の変化により硬化速度が変わったり、見た目の色や光沢が変化したりすることがあります。
※白化現象:季節や環境に変化が起きてシアノアクリレート蒸気がグルー表面に浮きだして白っぽくなる現象。主な原因は湿度・汗・残留水分・アルカリ物質等で、早ければ施術中から数日後にかけて発生します。
3.室内環境は季節によって変わる温度や湿度の他、以下のような環境の変化によっても硬化速度が変わったり、見た目の色や光沢が変化したりすることがあります。
・冷暖房設備の入れ替え
・換気扇のつけ忘れ、換気設備の入れ替え
・室内の壁紙クロスの新調、貼り替え、その他改装
・同じビル内に美容室が開設された、等
施術後、すぐにジムはOK?
質問:梅雨の時期に限らずお客様から、施術完了から1時間後に高温多湿の場所(ジムやサウナ)に行って良いか聞かれた場合はどうお答えすればよいでしょうか?
出典:株式会社松風 お客様相談室より
回答:完全硬化時間短縮グルーは『施術完了から1時間後に高温多湿環境の場所に行ける』という事を積極的に推奨するものではございません。
例えば完全硬化1時間のギプスグルーをご使用の場合、施術完了から1時間後に、ジムやサウナ、岩盤浴、ホットヨガなどに行かれることは問題ないとも考えられますが、可能な限り避けていただくことが望ましい旨お客様にお伝え願います。
高温多湿の場所に頻繁に行かれる方は、そうでない方よりまつげエクステが持続し難い傾向にあります。加えて、装着直後は特に高温多湿の場所は避けていただいた方が望ましいということに変わりはありません。
松風が推奨する施術日の洗顔のタイミング
マツエク施術後は、目元の衛生上の観点から、その日のうちに洗顔していただく事が必要不可欠です。
しかし『グルーの硬化時間を気にしてクレンジングや洗顔をしないで就寝される』方がいらっしゃるのも事実です。そのような方へは、完全硬化1時間の松風グルーを使用することで夕方や夜間の施術であっても1時間後には洗顔・入浴が可能となります。
完全硬化時間短縮グルーは、目元トラブルリスクを回避する手段として、清潔な目元を維持していただくことも目的としています。
マツエク施術後のアフターケアに関して、お客様への細かな説明が必要とされます。松風公式サイトに、必要に応じてご自由にダウンロード・出力が可能な無料ダウンロードコンテンツを掲載しております。
まとめ
白化現象はグルーと必要以上の水分が反応して起こる現象です。サロンの湿温度管理や前処理から施術後までのミスを十分に防ぎ、事前対策できることはしっかり行いましょう。
また、お客様自身のアフターケアについてもカウンセリングや施術中もその大切さを伝えるよう、意識しましょう。知りたい情報をしっかり伝えてくれる!と信頼していただけることにも繋がります。
キレイになった目元をできるだけ長く、安全に楽しんでいただけるよう、アイリストは気を付けていきたいですね。